教師のコラム
英語に限らず、われわれが言語を習得するには順序があります。
「聞く→話す→読む→書く」です。

日本語を話す我々もそうです。生まれ落ちた赤ん坊はただぼーっとしているのではなく、家族の話す言葉をよ~く聞いています。そして、いつからか家族の言うのをまねて言葉を発するようになると、何度も、何度も、何度も繰り返して、だんだん話せるようなっていきます。
その後学校に行って字を覚えると、読んだり、書いたりできるようになるのです。
つまり、初めに頭の中に「言葉の音」が入って来て、「言葉の音と現象」、「言葉の音と感情」の関係が蓄積していきます。
例えば、「まんま」と「ごはん」、「ひかり」と「まぶしい」、「あぶない」と「こわい」など。
そして、成長につれて、その頭の中の音をたよりに、聞いたり話したりができるようになっていくのです。
文字は、その頭の中の音を書き表して、目に見えるようにしたり、ずっと残せるようにしています。頭の中に音があってこそ、文字を使いこなせるのです。

なぜ外国語の習得が難しいかというと、大抵の家族にはネイティブがおらず、聞く機会がほとんどないことです。頭の中に「言葉の音」の蓄積がありません。
そして、多くの子にとって学校の授業が難しいのは、ほとんど英語を聞く機会もないままに(つまり、「言葉の音」が頭の中にないままに)、読まされたり、書かされたりするからです。
最近、小学校でも「本格的な」英語授業が始まり、聞く・話すを練習しようとしていますが、まだまだ充分ではありません。
それどころか、小学校で英語を習っているのが前提となったことで、中学校の英語のカリキュラムの中で、基礎練習が大幅に減ってしまいました。むしろ中学英語は以前より大変になってしまったのです。
(ただ、ネットとスマホが発達したので、これを利用できる人にとっては、自分で練習する手段を、以前より簡単に手に入れられるようになりましたね。)
我々は、日本語を、暮らしの場面と話の流れの中で言葉を覚えてきました。
だから、英語もできるだけ、場面とストーリーの中で覚えるのが効果的です。
たくさんの科目を勉強しなければならない中で、英語を効率よく勉強しようとすれば、最も利用すべきなのは「教科書の本文」です。
まずは、お手本をよく聞いて、何度も繰り返し、声に出して読むこと(音読)で、英語の「言葉の音」を頭に入れていきます。これで、足りなかった「聞く」「話す」「読む」を補っていきます。
そして、そこに出てきた語や文を繰り返し書くことで、「書く」こともできるようになっていきます。
「読む」ときには、声に出して読む「音読」練習が大事です。音読するのと黙読するのとでは、練習の効果が全く違います。声を出すことで、赤ちゃんの「話す」経験を疑似的に補うのです。
これまでの経験では、「言葉の音」をしっかり頭に入れるには、鼓膜を振動させて耳で聞き、声帯を振動させて声に出さないといけません。
例えば、歌の練習で、「声を出さずに練習しろ」と言われたらどうでしょうか?水泳の練習で、「水には入るな」と言われたら、練習できるでしょうか?英語で「声に出さずに読む練習」とは、このようなものなのです。
こうした音読練習も、言われてすぐひとりでできる子はほとんどいません。講師がコーチになって、アドバイスし、励ましながらトレーニングしていきます。
「音読練習は大事だな」と思った子は、毎日家でも練習してくれます。(思えば、小学校の時、国語の「本読み練習」はやっていたのですから、英語だって音読練習するのは合理的です。)
あるとき、一生懸命音読練習やった子が、英語のテストを受けたあと、塾に来て言いました。「答案用紙に答えの英文が見えました。」
(コラム第9回もご参照ください。)


