第14回 中学生 理科学習の落とし穴

教師のコラム

普段から身の周りの現象を観察している子にとっては、理科はさほど難しいと思わないようです。そして、観察して知っていたことが、論理的に説明されることに面白さを感じています。
しかし一方で、これまで大人が当たり前と思っていたことを「知らない」という子が大勢います。「太陽は東から昇る」とか、「暖かい空気や水は上昇していく」とか、「水は凍ると膨らんで、氷は水に浮く」とか・・・。

例えば、いまの多くの子は火を見ることがほとんどありません。家庭のコンロはIHで、風呂を沸かすのも自動です。
ある日学校の理科実験で、アルコールランプを使っていたそうです。ひとりの子がその近くでプリントを広げ読んでいたら、火がプリントに燃え移ったのだそうです。
しかし、子どもたちはびっくりして見るばかり。先生があわてて火を消したそうです。
子どもたちは、火が紙に燃え移る、ということも、火が燃え移ったらそのあとどうなるか、ということもイメージできなかったようです。

大人から見れば、自分たちの子どもの頃はクラスのみんな知っていたのだから、「知っていて当たり前」と思うことでも、いまは「当たり前」ではないことがたくさんあるのです。
世の中が便利になって、そうしたことを知らなくても快適に生活できる、ということかもしれませんが。

これまでは「常識」と思われるような自然現象も、学習しながら、講師との対話で話題にしていき、身の周りの現象に気づいてもらうことも大事になっています。

 

さらに、計算問題では、数式を使って緻密に考え、自然現象が算数や数学で学んだ、ある関数にともなった現象であることを理解します。
それまで、数学と理科は別のもの、と思っていたらつながっていたのです。
何のために数学を習うのかと思っていたら、ひとつには、自然現象を理解すること、そして予測することにまで使われるんだ、とわかります。
(「理科は嫌いじゃないけど、計算が苦手」という人、塾で計算練習をがんばりましょう!)

入試レベルの計算問題ともなりますと、ポイントとなる箇所がいくつもあります。このくらいになりますと、問題集の解説だけではなかなか理解が追いつかず、放ってしまいがちです。
ここは、講師に尋ねながらひとつひとつ理解して行きましょう。
理解し、解答するにはちょっと苦労しますが、できるようになると、達成感も大きいです。
さっきまで応用問題から逃げ回っていた子が、自分でできるようになると、得意になって友達に教えていたりします。

将来、機械や電気、土木の仕事に就きたいと思っている子にとっては、問題を解きながら、「これは何だかとっても大事なんじゃないか」と思い始めます。
中には、工業高校へ行ってからそれに気づいて、また塾に来て勉強する生徒さんもいます。そうした生徒に何年か後会って、機械を扱う仕事についたというので、「仕事どう?」と聞いたら、「バカおもしれぇ」と答えてくれたのには、本当にうれしくなりました。

今回の話題からはそれますが、昨今の生成AIの普及で、単純な事務仕事がどんどんなくなっているそうです。
将来のためにも(遠い将来はわかりませんが)、ものづくりに関わる「理系」科目は、しっかりやっておいた方がいいかもしれません。
どんな仕事でも、協力しあうということは大事です。しかし、人あたりというのは、どうしても得手不得手があります。
小生の個人的経験では、不器用な人ほど「理系」科目をしっかりやっておくべきです。
「理系」科目は、基礎からきっちりやれば、必ず習得できるものです。不器用でも、コツコツやれば、何かしら人の役に立つ仕事ができると思ってます。