第10回 be動詞って、何してる?

教師のコラム

大物なのに、存在感がうすいbe動詞。

 

このコラムでは、勉強に関して、ちょっと興味深い話題を取り上げまして、皆さんに「へのへの もひじ」顔で、笑顔で、楽しく勉強していただこう、という趣向でございます。
ご案内は、小生、「もひじ」が務めます。

 

さて、英語を始めたばかりの学習者が戸惑うのが、be動詞と一般動詞の違いですね。
今回は、be動詞の役割について考えてみましょう。

 

その前に、ひとつ前置きを。
英語の動詞は大きく二つに分かれます。
be動詞か、be動詞でないか、です。be動詞でないものを「一般動詞」と呼んでいます。

 

「私は川で泳ぎます。」とか「私は公園で走ります。」と言ったとき、「泳ぎます」、「走ります」を省いてしまうと、何をしているのかわからなくなってしまいますよね。
これが一般動詞のグループその役割はハッキリしています。

 

しかし一方、「私は中学生です。」「私は部屋にいます。」と言うとき、「です」や「います」を省いても、意味は通じます。というか、日本語の普段の会話では、むしろ「です」や「います」を言わなくないですか。
「私、中学生。」「私、部屋。」の方が普通じゃないでしょうか。

つまり日本語では、be動詞にあたる言葉は、存在感が薄くって、ぶっちゃけ、なくってもいいって感じです。(しかも日本語では、しばしば主語さえ省略してしまいます!)

 

では、be動詞の役割は、どう考えたらよろしいでしょうか。

結論から言いますと、be動詞とは、「あなたの人差し指」に当たります。
つまり、be動詞はの役割は、主語が「どこに属するかを指し示す」こと、です。

 

具体的な例で見てみますよ。

I am a student.
と言うとき、聞いている人に向かって、「私」は、「生徒(というグループ)」、ここです。「私」はここにいます、と示しているのです。

 

You are a teacher.
と言うときは、「あなた」は、(生徒じゃなく)「先生(というグループ)」、ここですね。ここにいるんですね、と示しています。

 

さらに、しつこく説明しますよ。

 

She is happy.
と言うときは、「彼女」は、(気分として)「うれしい(という尺度の位置)」にいます。ここにいますよ、と示しています。

 

My mother is in the kitchen.
と言うときは、「母」は、「台所(の中)」です。ここにいます、と示しています。

 

Ken is from Tokyo.
と言うときは、「ケン」は、(大阪でも、京都でもない)「東京出身(というグループ)」、ここです。ここにいます、と示しています。

 

いかがでしょう? さすがに、これで万事解決! とはいかず、まだモヤモヤされているかもしれませんね。

 

日本語では省略されがちなbe動詞ですが、英語では、省略してしまうと語順がグジャグジャになり、意味が通じなくなってしまうので、まず省略されません。
ただ、省略はされませんが、会話では短縮されます。
I'm、You're、He's、She's のように。

どうやら英語でも、be動詞はそう丁重に扱われているわけではないようです。ですから、そもそも、その役割については説明しづらい言葉なのです。

 

説明をあれこれ聞くより、英語をたくさん聞き、たくさん読んで、その使われ方を覚えた方がきっと早いでしょう。日本語だってそうして覚えてきたんですからねぇ。

 

最後にひとつ、大事なことを付け加えますよ。
まず、be動詞は、数が少なく、am、are、is、was、were、で、ときどき be、been。これだけです。
そして、ひとつの文の中に動詞はひとつですですから、be動詞と一般動詞が同時にひとつの文の中に入ることはございません。
それで、be動詞と一般動詞は、まるで英語の中で2つの別々の世界をつくっているかのように振る舞うんです。
ですから、Is he play soccer? などということは起こらないんですよ!

 

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<付記>
be動詞について、一般的には、「私は生徒です。」の「です」に当たる、というように説明されます。しかし、上記のように、日本語では「です」が省略されることが多いので、多数の中学生にはピンとこないようです。
そして、「私はリンゴが好きです」は「です」だから、「I am like apples.」と考える子も多いんです。
(そういえば、何だって、現代の日本語では、「私はリンゴを好く」と言わないんでしょう。 他にも、「愛す」と言わずに「愛してます」、「嫌う」と言わずに「嫌いです」、「知る」と言わずに「知っています」・・・ ふぅむ、どなたか、ご存じの方がおられたら、教えていただきたいです。)

 

また、be動詞は、「私=生徒」の「=」の役割をする、とも説明されますが、こう言うと、ほとんどの中学生は、「私は」の「は」が「=」だと勘違いしてしまいます。
何しろ、小学校1年の頃から、算数で「1+1=2 (いち たす いち は に)」と唱えてきたので、「=」を「は(wa)」と読む習性があるんですね。
それだから、「私は川で泳ぎます。」を英語にするとき、「私は」のところを、まず「I am」として、それから「川で泳ぐ」を「swim in the river」とするので、「I am swim in the river.」という英文ができあがるのです。
英文は、語順が語の役割を示していますので(第9回参照)、文頭に「I」が置かれた時点で、「私は」と、考えるべきなんでしょうけれども、これがまぁ、どうしてなかなか・・・